日々料理をする方にとって、油は必需品です。
特にサラダ油は手頃な価格で、無味無臭で使いやすいため、多くの家庭で常備されています。
その多用途なサラダ油ですが、時折身体に悪いと言われることもあります。
サラダ油は日本で開発された植物油であり、最初はサラダドレッシングに使うために販売されたものだとされています。
サラダ油は高度に精製され、低温でも液体である特性があります。
今回は、なぜサラダ油が身体に悪いとされるのか、その理由を解説していきます。
サラダ油が身体に悪いと言われる理由
なぜ、サラダ油が体に悪いと言われるのか、その理由を解説していきます。
トランス脂肪酸が含まれている
サラダ油の精製過程で熱が加えられることで、元々存在する、シス型の不飽和脂肪酸がトランス型のトランス脂肪酸に変わります。
トランス脂肪酸の摂取過多は、悪玉コレステロールの上昇、動脈硬化、心臓疾患、がん、喘息、アトピーなどさまざまな健康被害を引き起こすと指摘されています。
アメリカではトランス脂肪酸の使用が全面的に禁止されています。
製造過程で化学薬品が使われる
サラダ油は種子を絞るために「圧搾」という方法で作られます。
しかし、この圧搾法では必ず10~20%程度、絞りきれない油が残ります。
この残油を取り出すために石油溶剤である、ノルマヘキサンが使われます。
ノルマヘキサンは皮膚や呼吸器、生殖器、胎児に悪影響を及ぼすと指摘される非常に危険な物質です。
製造工程でノルマヘキサンは除去されるとされていますが、それでも不安は残ります。
また、油の臭いや色を消すために添加物も使用されており、これがサラダ油が身体に悪いとされるイメージの一因かもしれません。
遺伝子組み換え作物が使われている可能性がある
スーパーなどで販売されているサラダ油の原料となる大豆やトウモロコシの多くは輸入されたものです。
これらの作物のほとんどが遺伝子組み換え作物である可能性が高いです。
サラダ油に遺伝子組み換え作物が含まれていても、表示義務はありません。
そのため、消費者は知る手段がありません。
現在、遺伝子組み換え物質の安全性はまだ証明されていないため、健康リスクを考えると遺伝子組み換え食品を摂取することは避けたいものです。
ヒドロキシノネナールは、認知症を引き起こす可能性がある
サラダ油が認知症に悪影響を与えるという話を聞いたことがあるかもしれません。
これはサラダ油に含まれる「リノール酸」という物質が危険であると指摘されているからです。
リノール酸は高温(200度以上)で加熱されると、ヒドロキシノネナールが生成されます。
このヒドロキシノネナールは人間の体内で、細胞膜の構成要素であるリン脂質を酸化させる作用があります。
リン脂質の酸化が全身の細胞に悪影響を与えるため、ヒドロキシノネナールが認知症を引き起こすと考えられています。
サラダ油は体に悪くないという意見
サラダ油は生野菜のサラダに使用されるように開発されましたが、そのイメージからは体に悪いとは見られません。
ここからは、サラダ油が体に害を及ぼさないという理由を紹介します。
化学物質は製造過程で取り除かれる
前述の通り、ノルマヘキサンは製造段階で取り除かれています。
普通にサラダ油を利用した料理に影響はないと思われます。
適量であればトランス脂肪酸は害を及ぼさない
国立の研究機関によると、家庭用のサラダ油に含まれるトランス脂肪酸はごく僅かだと述べられています。
WHOの推奨するトランス脂肪酸の摂取上限は、約2g未満とされています。
これは市販のサラダ油を使用して調理した場合における量であり、トンカツ約10枚分に相当します。
揚げ物はトランス脂肪酸が多いと一般的に考えられていますが、実際には意外に少ないことが分かります。
もちろん、揚げ物を過度に摂取することは体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、通常の食事ではサラダ油からのトランス脂肪酸を過剰に摂取することは難しいとされています。
体内に入るヒドロキシノネナールは僅か
ヒドロキシノネナールは認知症などの疾患の原因とされていますが、その影響は直接的ではないという研究結果があります。
酸化した油から生成されるヒドロキシノネナールが生活習慣病や認知症の一因であるとされることはありますが、これが人体に直接影響を及ぼす証拠はまだありません。
また、通常の食事から摂取されるヒドロキシノネナールは害を及ぼす量ではないと考えられています。
油を再利用することや長時間加熱することは、ヒドロキシノネナールの生成を増やすことが分かっています。
そのため、酸化しにくい油を選ぶことが推奨されます。
酸化しにくいサラダ油とは、主に菜種油だけを使ったものですが、菜種はほとんどが遺伝子組み換えされていることが多いので、注意が必要です。
オリーブオイルやごま油も、加熱に強く酸化しにくい種類の油です。
販売されているサラダ油には、ヒドロキシノネナールは含まれていないことが食品安全委員会の実験で確認されています。
そのため、ヒドロキシノネナールの人体への影響を心配する必要はなさそうです。
サラダ油に代わるおすすめの油
サラダ油の代わりにおすすめの油をご紹介します。
オリーブオイル
オリーブオイルは、一番搾り製法で作られ、溶剤を使用していない油です。
また、オリーブは遺伝子組み換え作物として輸入が認められていないので、安心して摂取できます。
ただし、料理の風味に独特な影響を与える場合があります。
ごま油
ごま油も主に一番搾り製法で作られていますが、溶剤を使用する企業もあるため、注意が必要です。
遺伝子組み換えに関しても、安心して使用できます。
ただし、独特な香りが特徴なので、料理によって使い分けることをお勧めします。
菜種油
国内産の菜種油なら、遺伝子操作や抽出方法についても心配せずに利用できます。
さらに、サラダ油の代替として、特有の風味を気にすることなく多目的に使えます。
要注意なのは、キャノーラ油です。
キャノーラ油は、品種改良によって有害物質を含まない菜種から作られたもので、菜種油とは異なります。
米油
米油は、耐熱性があり、酸化しにくい油です。
また、味や香りが薄いため、さまざまな料理に適しています。
米油に含まれる、γ‐オリザノールには抗酸化作用があり、生活習慣病やガンの予防に役立つ可能性があります。
えごま油
えごま油は熱に弱いため、サラダ油の代用としては適していません。
サラダや料理の仕上げに利用してください。
また、えごまオイルには日本人に不足しているオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、積極的に摂取すべき油とされています。
サラダ油の選び方のポイント
サラダ油は手頃な価格で使いやすいため、完全に避けるのは難しいでしょう。
ですが、摂取量に注意しながら選ぶことが大切です。
さらに、リノール酸とトランス脂肪酸が少ないものを選ぶのがポイントです。
以上を踏まえ、サラダ油の選び方を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・国産品を選ぶ
・酸化しにくい・酸化していないものを選ぶ
・遺伝子操作されていない原材料のものを選ぶ
国産品を選ぶ
まず、サラダ油を選ぶ際には、その原産国を確認することが大切です。
特に、国内産の素材100%から作られたサラダ油は新鮮であることが多いです。
これらのサラダ油は他の種類よりも少量であり、価格も高めですが、過剰摂取を防ぐためおすすめです。
サラダ油を選ぶ際は、国内産素材100%の表記があるものを選びましょう。
酸化しにくい・酸化していないものを選ぶ
酸化しにくいサラダ油を選ぶことも重要です。
サラダ油は基本的に加熱されると酸化脂質が生じ、がんや動脈硬化のリスクを引き起こす可能性があります。
従って、酸化したオイルは使用しないようにしましょう。
特に、ごま油のオメガ6は170度、オリーブオイルのオメガ9は240度まで耐熱性があり、それを超えると酸化が進みやすくなります。
多くの加熱調理を行う場合は、キャノーラ油や米油を選ぶことがおすすめです。
遺伝子操作されていない原材料のものを選ぶ
遺伝子組み換えでない素材のサラダ油を選ぶこともポイントです。
日本では遺伝子組み換え作物は生産されていないため、基本的に国産のサラダ油を選ぶことで問題はありません。
特に、米油は遺伝子組み換えが認められていないため、原材料の国産を確認しなくても安心です。
サラダ油は体に悪い?体に良いとの意見も・代用の油も紹介まとめ
今回は、サラダ油は体に悪い?体に良いとの意見も・代用の油も紹介を解説しました。
一部のサラダ油には以下のような悪影響があると言われています。
・トランス脂肪酸の含有
・製造過程でノルマヘキサンという化学薬品の使用
・遺伝子組み換え作物の可能性
・ヒドロキシノネナールによる認知症のリスク
これらの理由からサラダ油は体に悪影響を及ぼすと言われていますが、化学物質は製造時に取り除かれ、他の成分の影響も通常の食事ではほとんど影響を及ぼしません。
したがって、サラダ油は必ずしも体に悪いとは言えないのです。
サラダ油の代わりに「オリーブオイル」や「菜種油」など、さまざまな油があり、用途に応じて使い分けることが良いでしょう。
油は生活に欠かせないものですから、適切に選んで安心して摂取するようにしましょう。
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